• 2017.10.18

    【財産分与の基礎知識】離婚時にできるだけ高額財産を獲得するための全知識

    【財産分与の基礎知識】離婚時にできるだけ高額財産を獲得するための全知識

    将来の生活や老後のことなどを考えると、離婚時の財産分与において可能な限り高額な条件で相手方との交渉を進めるのが理想になると言われています。

    これに対して「一刻も早く別れたい!」とか「大嫌いな配偶者と話し合うのが面倒臭い!」といった理由で財産分与の交渉をせずにいると、離婚後の暮らしがスタンダードしてから貧困などの問題にぶつかってしまうこともあるのです。

    今回は、離婚後の人生や暮らしを充実したものに繋げるために欠かせない、財産分与の基礎知識を徹底解説していきます。

    財産分与とは何ですか?

    民法768条と民法771条に基づき、婚姻中に夫婦が協力して蓄積した財産を精算することを、財産分与と呼びます。

    離婚の際にはさまざまな交渉や調整、手続きを行う必要がありますが、その中でも財産分与はこれから別れる夫婦それぞれの人生に関わる大変大きな位置づけとなるのです。

    財産分与を行うケースの具体例

    財産分与は、夫婦の結婚生活によって婚前と比較して財産に変動があった場合に行われると捉えてください。

    例えば、10年間の婚姻生活の中で夫婦2人がせっせと貯金をしていた場合は、明らかに財産に変動があったという理由で財産分与を行う必要がでてきます。

    またマンションや戸建住宅などについても立派な財産となりますので、貯金や現金のない夫婦であっても財産分与が必要なケースは豊富にあると捉えるべきだと言えるでしょう。

    財産分与における3種類の分割の考え方

    財産分与をする際には、現物分割、代償分割、換価分割のいずれかの考え方で交渉や手続きを進めていくのが一般的です。

    現物分割とは?

    現物分割とは、その名のとおり現物で財産分与を行う手段です。

    例えば、一戸建て住宅や自動車、家具、家電といった現物は、夫婦それぞれの希望やおおまかな価値などから、換金などをせずにそのまま分け合う形をとります。

    また預貯金についても通帳に入った金銭を支払う、分け合うといった流れとなるため、夫婦間の協議さえスムーズにできれば面倒な手続きなどの要らない方法になることでしょう。

    代償分割とは?

    土地や家などの不動産や自動車といったどちらかの名義になっている財産が多く、それぞれを現物で上手く分けられない場合は、片方が一戸建て住宅における価額の半額を現金で相手方に支払う代わりに、自分に所有権移転をしてもらうなどの代償分割を行うこともあります。

    この場合は、各財産の価額の調査やさまざまな権利を変える手続きが必要となるため、夫婦間の交渉だけでなく時間やお金もかかると捉えてください。

    換価分割とは?

    自動車や住宅、家電、家具といった財産を売却し、そこから諸経費を差し引いた金額を分け合うことを換価分割といいます。

    例えば、離婚前の夫婦が長きに渡る別居生活をしていて、その後の生活に必要な住宅やマイカー、家財道具などを既に持っている場合は、換価分割を使って全ての財産を現金に替えた方が平等に財産分与もできる形となります。

    しかしあまり宅地として人気のない郊外にある住宅や、家財道具などは売却しても二束三文になる可能性が高いため、この方法は現物分割や代償分割と比べて実際に分け合う財産の金額がかなり下がる可能性が高いと言えるでしょう。

    財産分与という形で請求可能な割合の相場とは?

    これから離婚予定の方々からの問い合わせの中には、財産分与の具体的な金額や相場に関する内容が非常に多いです。

    具体的な金額については、夫婦が婚姻期間中に積み重ねた財産の総額によって変わってくると捉えてください。

    これに対して割合については、夫婦の職業に関係なく2分の1ずつ財産分与ができるというのが一般的な考え方です。

    例えば、婚姻中の妻が専業主婦として家事や子育てを行なっていた場合においても、外で仕事をしている夫を支えていたと考えれば、財産は夫婦で2分の1ずつ分けるべきという考え方となります。

    このルールを知らずに離婚条件の交渉を行っていると、「専業主婦の君は1円も稼いでいない」といった夫の主張により、財産分与の金額が大きく減らさせてしまう可能性も出てくるため注意をしてください。

    どんなものが財産分与の対象になりますか?

    財産分与の対象となるのは、「結婚後に増やした財産のみ」です。

    この基本を抑えていても、いざ財産分与の話し合いをする時には、多くの夫婦が「これは分けるべき財産?」といった部分で頭を悩ませる傾向があります。

    ここでは、財産分与の対象・非対象で悩む夫婦が多く見受けられる5つの項目について、少し詳しく見ていきます。

    現金・預貯金

    預貯金や現金などのお金は、「結婚後に増やした財産か?結婚前に貯めていたお金か?」によってその判断が変わってくる部分です。

    例えば、OL時代からコツコツとお金を貯めていた奥さんに200万円の預貯金があった場合、このお金を財産分与で旦那さんと分ける必要がありません。

    これに対して結婚をしてから貯めた預貯金やタンス預金がある場合は、財産分与の対象となります。

    不動産

    不動産についても、「結婚後に購入した財産か?」で考えるのが一般的です。

    土地や住宅などの場合、夫婦どちらかの名義でローンなどの契約をしている場合も多く存在します。

    しかしこれらの不動産を夫婦が結婚してから購入した場合は、名義関係なく財産分与対象となると捉えてください。

    有価証券

    社債や株券などの有価証券やゴルフ会員権なども、結婚後に購入や投資をしていれば財産分与対象とみなされます。

    しかし旦那さんが趣味で株取引やゴルフなどを行なっていた場合、これらの有価証券の存在を奥さんが知らないケースも多く見受けられますので注意が必要です。

    こうした形で相手が婚姻中に貯めた・集めた財産を知らない問題を防ぐためには、毎日の暮らしの中でパートナーに興味を持ったり、お金に関する不透明さをクリアにしておく心掛けも必要だと言えるでしょう。

    年金

    例えば、夫が公務員や正社員だった場合は、専業主婦の妻への年金分割が可能となります。

    しかし年金を分ける割合の決定や手続きに至るまでには、相手方との話し合いや年金情報通知書の入手といったたくさんの準備をしなければなりません。

    また相手方が分割を拒んだ場合は、夫婦間の協議から調停や審判へと話し合いの場が移る可能性もありますので、注意をしてください。

    退職金

    退職金については、「定年退職などによって既に受け取った退職金」と「将来的にもらう予定のある退職金」の2つが財産分与の対象なります。

    現段階で退職金が支払われていない場合は、財産分与を行う上での計算方法が具体的に決まっているわけではないため、基本的にパートナーとの話し合いや調整が必要になると言えるでしょう。

    また財産分与対象となった退職金の一部を相手方に分割するタイミングには、離婚時と実際の退職した後の2パターンがあるようです。

    財産分与対象になる借金もある

    婚姻中の生活の中で生まれた借金も当然、財産分与の対象になると考えられます。

    例えば、2人で建てたマイホームのローンは、財産分与の話し合いをする上でも避けられない存在になると言えるでしょう。

    これに対して夫がパチンコや競艇などで勝手に作った借金については、夫婦の共同生活とは関係がないという理由で、財産分与対象から省かれるケースがほとんどのようです。

    また買い物依存症の妻が無断で買ったブランドバッグなどの支払いについても、「共同生活に必要なものなのか?」という観点で考えれば、対象外になると言えそうです。

    親から相続した遺産は財産分与の対象となる?

    両親が亡くなった時に相続した遺産は、法定相続人のものです。

    その時期が婚姻中であったとしても、遺産に関しては夫婦が2人で積み重ねた財産という考えが当てはまらないのです。

    しかし遺産相続で受け取った現金などを夫婦共通口座に入れておくと、うっかりミスで財産分与の対象になってしまう可能性もでてきますので、こうした失敗を防ぐためにも相続金額の把握と、お金を混在させない心掛けも必要だと言えそうです。

    財産分与の方法1 話し合い

    財産分与で最も初歩的なのは、夫婦2人で話し合いをする方法です。

    夫婦それぞれが自分たちの財産の全てを洗い出し、慰謝料や養育費などの話とまとめて交渉すれば、作業が多少面倒であっても自分たちの予定に向かってスムーズに手続きを終わらせられます。

    しかし口約束で財産分与の内容を決めた場合は、後々「言った・言わない」のトラブルに発展しやすくなりますので、法的効力のある公正証書の離婚協議書を必ず作るようにしてください。

    財産分与の方法2 調停

    既に別居を始めている夫婦の場合、話し合いで財産分与などの離婚条件を決められないことにより、調停をする流れとなります。

    家庭裁判所で行う離婚調停には、これから別れるパートナーと顔を合わせずに調停員の助言などを通して、双方にとってより良い条件を決められる特徴があります。

    しかし中には、「絶対に離婚をしたくない!」などの理由で調停に来ない配偶者も存在するため、こうした場合は次のステップとなる裁判に移るようです。

    財産分与の方法3 裁判

    最後の段階とも言える裁判離婚には、基本的に民法770条で定める法定離婚理由が必要となります。

    例えば、パートナーの不倫や浮気によって夫婦関係が破綻した場合は、不貞行為という法定離婚理由によって離婚請求だけでなく慰謝料請求をすることもできるのです。

    しかし離婚裁判の多くは、夫婦2人で行う協議やその次の段階となる調停でも離婚条件が決まらないケースがほとんどとなりますので、長きに及ぶ裁判によって多大な時間や労力を要することを考えると、財産分与や離婚問題に詳しい弁護士にサポートを仰ぐのが理想となるでしょう。

    法律事務所の多くは電話相談やメール相談、無料相談なども取り扱っていますので、まずは気軽に相談をしてみてください。

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