COLUMN
夫婦間トラブル
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離婚とお金
2018.2.23
なぜ死後離婚を選ぶ女性がいるのでしょうか?
この8年で1.5倍以上に増えている死後離婚は、現代社会の家族問題について考える上でも、欠かすことのできないキーワードになりつつあります。
特にこの手続きへの注目度が一気に高まった2016年には、下記のような人気番組やインターネットメディアで死後離婚の話題が取り上げられました。
・報道LIVE あさチャン!サタデー
・バイキング
・ノンストップ
・発言小町(女性向け投稿サイト)
・パピマミ(ママ向けサイト)こうした形で人々の目に触れる機会の増えた死後離婚は、旦那さんが亡くなった後のことを考える女性にとって、注目しておくべき存在とも考えられます。
また友人や姉妹などに義母などとの関係に悩む人がいる場合は、ひとつの選択肢として死後離婚というキーワードを教えてあげても良いでしょう。
今回は、さまざまなメディアで話題になっているこの手続きの話をしながら、「なぜ死後離婚を選ぶ人が存在するのか?」という皆さんの疑問を解消へと導いていきます。
死後離婚とは?
配偶者が亡くなったタイミングで、市区町村役場に姻族関係終了届を提出することを死後離婚と呼びます。
この手続きを行うと、亡くなった配偶者の両親や兄弟姉妹といった姻族との関係を終了させることが可能となります。
また一般的には、死後離婚に対して義理の両親や義兄弟姉妹と赤の他人に戻るための手続きと説明する方々もいるようです。
《姻族関係終了届に記載する項目とは?》
姻族関係終了届に記載するのは、手続きを行う本人の氏名・住所・本籍、死亡した配偶者の氏名・本籍・筆頭者の氏名のみとなります。
非常にシンプルなこの書類は、亡くなった配偶者と自分の本籍地さえきちんと把握していれば、5分もかからず作れる内容です。
また不明点などは市区町村役場の担当者が教えてくれますので、ひとりで手続きを行う皆さんでも姻族関係終了届はスムーズに提出可能と捉えて良いでしょう。
《死後離婚の手続きはどこで行うの?》
死後離婚の手続きは、届け出をする本人の住所地もしくは本籍地の市区町村役場で行います。
夫もしくは妻が亡くなったことにより、今まで住んでいた家から引っ越しをしても、住所地のある役場に姻族関係終了届を提出すれば死後離婚ができる仕組みです。
《姻族関係終了届に提出期限はある?》
姻族関係終了届の提出には、期限がありません。
そのため、旦那さんの遺産相続や遺品整理などで忙しくしている場合についても、全ての手続きが一段落してから提出することも可能となります。
しかし後述する死後離婚のメリットや目的から考えると、多少忙しい状況であっても、なるべく早めに提出するのが自分のためになると言えそうです。
《死後離婚をする時に必要となる書類とは?》
死後離婚の手続き時には、下記の必要書類を用意しなければなりません。
・婚姻関係終了届
・印鑑
・戸籍謄本(全部事項証明書)
・届出人の身分証明書(運転免許証など)死後離婚はどんな人が行うの?
今話題の死後離婚は、下記のような想いや事情を抱えた人によって手続きが行われるケースが多いと言われています。《義父母や義兄弟姉妹の扶養義務から逃れたい》
この手続きをする理由として最も多いのが、亡くなった夫の両親や兄弟姉妹の扶養や介護などから開放されたいというものです。
親族の中で唯一自分をフォローしてくれた旦那さんが亡くなった場合、その両親のお世話や面倒を見なければならない状況に疑問を抱く女性は意外と多い実態があります。
また大事なパートナーを亡くしたことにより、義兄弟姉妹や義父母からの風当たりが更に強くなれば、「どうしてこんな人達のために、自分が頑張らなければならないのだろう?」といった疑問や不信感を抱くことも自然な流れと言えるかもしれません。
《血族ではない妻に義父母や義兄弟姉妹の扶養義務はないのでは?》
姻族の扶養について考える時には、民法877条1項と2項を頭に入れておく必要があります。
民法877条1項において互いに扶養する義務があるのは、直系血族および兄弟姉妹のみと定めています。
しかし2項では、特別の事情がある場合は、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせられると定めているのです。
こうした形で法律を細かく見ていくと、介護や扶養に意外なイレギュラーケースが存在するため、注意が必要です。
《扶養義務を生じさせる「特別の事情」とは?》
民法877条1項で定める特別の事情は、裁判所の厳格な判断によって異なる形となります。
しかし例えば、夫の作った莫大な借金により、義父母の経済的援助を夫婦2人で受けていたといった場合は、特別の事情に該当する可能性が高いと捉えた方が良いでしょう。
特に経済的援助の場合、預金通帳の振込履歴も立派な証拠となりますので、長きに渡って義父母などからお金を受け取っていたなどの事情がある時には、注意をしてください。
《夫と同じお墓に入りたくない》
かなり前から夫婦関係が破綻しているのに、それでも金銭的な事情や子育てなどの事情で離婚ができなかった場合、亡くなった夫と同じお墓に入りたくないという想いで死後離婚をする妻も少なくない実態があります。
戸籍や住民票とは関係のないお墓は、厳密に考えれば死後離婚をしなくても、夫や姻族と同じところに入る状況を拒否することもできます。
しかし夫の生前からさまざまな嫌悪感や違和感を抱えて生きてきた女性の場合、パートナーとの縁を切る第一ステップとして死後離婚の手続きをすることもあるようです。
《お墓の管理などを行いたくない》
長男の嫁ならではとも言えるお墓の管理も、死後離婚によってその義務から逃れやすくなります。
こうした管理が難しい場合、義父母や義兄弟姉妹に「やりたくない」という想いをハッキリ伝えることも必要です。
しかし長男の嫁などという立場によりさまざまな義務や無理難題を押し付けられる場合は、姻族との間に明確な境界線を引くといった意味でも、死後離婚を行った方が良い場合もあると言えそうです。
《嫁姑問題から逃れたい》
死後離婚をする女性の中には、長きに渡ってバトルを続けてきた嫁姑問題から逃れるために、婚姻関係終了届を出す方々も大変多く見受けられます。
姻族関係を切れる死後離婚を行えば、姑から何を言われても、「法的に関係ありません!」という主張ができる形となるのです。
また嫁と姑では当然、前者の方が立場的に弱い位置付けとなりますので、姑などからのいじめに遭っている皆さんにも死後離婚という選択肢のおすすめ度は高いと言えそうです。
《義兄弟姉妹の素行が悪い時にもおすすめ》
死後離婚は、素行の悪い義兄弟姉妹から逃れる意味でも、非常に有効な手続きとなります。
例えば、常に借金やギャンブル問題などを抱えた人は、自分の配偶者でもない兄弟姉妹の妻に対しても、お金の無心をしてくることもあります。
またこうした人達は、自分がお金などを求める時だけ「親族だから良いでしょ?」といったお願いをしてくる傾向もありますので、早めに死後離婚をしておいた方が義兄弟姉妹の抱えたトラブルに巻き込まれにくくなるとも言えるでしょう。
死後離婚における意外なメリット
近頃多くの人が行う死後離婚には、下記のような意外な利点があると言われています。
《遺産相続が手続き前と同じようにできる》
死後離婚を行う最大のメリットは、姻族との関係が切れた後も、夫の遺産や遺族年金を受け取れるということです。
実際にこの婚姻関係終了届を提出すると、戸籍の中にその事実が記載される形となります。
配偶者と作った戸籍から除籍されるわけではありませんので、パートナーの死によって受け取れる財産を含めた権利については、心配する必要がないと言えるでしょう。
また旦那さんの生前に離婚ができずに悩む女性の中にも、金銭的な部分に不安を抱えた人が非常に多く見受けられますので、遺産相続や遺族年金のために姻族との関係が切れないと感じている人は、新たな選択肢としてぜひ死後離婚を検討してみてください。
《姻族の同意をもらう必要がない》
死後離婚のもうひとつのメリットは、義父母や義兄弟姉妹に了承をもらう必要がないことです。
この手続きを行う本人が市区町村役場に姻族関係終了届を提出すれば、誰が何を言っても死後離婚ができる形となるのです。
義父母や義兄弟姉妹が亡くなった夫の妻に対して介護や扶養の期待をしている場合は、姻族としての関係を切ることに大反対される可能性もあります。
しかし本人の意思だけで手続きのできる死後離婚なら、義父母や義兄弟姉妹にその決意を阻まれる可能性は低いと捉えて良さそうです。
死後離婚にデメリットはある?
死後離婚を行うデメリットは、この手続きを行った事実が発覚した後に、義父母や義兄弟姉妹との関係が悪くなることです。
例えば、遺産分割協議などにより顔を合わせる機会の多い段階で、死後離婚の事実が発覚すれば、話し合いの中で批判される可能性は高くなると言えるでしょう。
また姻族と同じ家で暮らしている場合は、その圧力は更に高くなると考えられますので、夫の死亡とともに姻族関係終了届の提出を考えているなら、なるべく早めに経済的な自立に向けて準備をしておくのが理想となるでしょう。
《死後離婚手続きで悩んだ時には?》
姻族関係終了届の提出に向けた準備などで不安や疑問がある場合は、離婚問題に詳しい弁護士に相談をしてみてください。
また夫の生前から姻族の介護や金銭問題などに悩まされている場合についても、死後離婚の検討を含めて法律の専門家に相談をするのが理想となるでしょう。
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