COLUMN
夫婦間トラブル
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離婚に伴う手続き
2018.7.19
夫婦関係調整調停(円満・離婚)の一般的な流れと手続きにおける注意点
夫婦間トラブルの悪化によりパートナーとの話し合いができないほどの状況に陥ってしまった時、夫婦関係調整調停(円満・離婚)という方法を使って問題の解決を図ることができます。
モラハラなどによってパートナーに意見を言えない人が多く見受けられる今の時代は、自分の身を守りながらきちんと主張を伝える方法として、夫婦関係調整調停が選択されることもあります。
またこうした制度の存在を知っておくと、配偶者との間に生じた問題解決が難しい場合においても、互いがより良い方向に向かうために早めの対処がしやすくなると言えるでしょう。
今回は、意外とメリットの多い夫婦関係調整調停(円満・離婚)について、手続きの流れや注意点などを徹底解説していきます。
夫婦関係調整調停とは?
婚姻中の男女の間に生じた問題解決に向けて用意された調停の種類を、夫婦関係調整調停と呼びます。
夫婦関係調整調停には、円満と離婚という2つの種類があります。
まず何らかの理由で関係悪化してしまった夫婦のいずれかが、再び円満を目指す時には、円満調停が選択されます。
これに対して配偶者への不満などによりもう別れてしまいたいと考えている場合は、離婚調停の申立をする形です。
ちなみに婚姻中に申し立てられるこの両者については、最初に円満な問題解決を目指して始まった調停を離婚調停に切り替えることも可能となっています。
夫婦関係調整調停ってどんな理由で申し立てられるもの?
平成25年の司法統計に目を通すと、夫婦関係調整調停の申立理由で最も多いのは、全体の69.6%にも及ぶ離婚問題となります。
次いで件数が多いのは、婚姻費用分担、協力・同居扶助、円満調整といった順になる形です。
こうした夫婦関係調整調停全体の理由に着目すると、円満よりも遥かに離婚に関する事案が多いと捉えて良いでしょう。
調停よりも裁判で問題解決したい
配偶者の浪費や不倫、暴力などの問題が酷く、早く確実に離婚をしたいと考える人の中には、「夫婦関係調整調停をやらずに離婚裁判をすることはできないか?」といった質問や相談をされる方も少なからず見受けられます。
夫婦関係において「互いにじっくり話し合いをすべき」という調停前置主義のある日本では、離婚調停を行わずに離婚裁判の申し立てをすることはできません。
そのため、2人で話し合いをしても離婚条件などの折り合いがつかない場合は、必ず離婚調停を行なった上で必要であれば離婚裁判へと進んでいく流れとなるのです。
こうした形で調停前置主義のある日本では、夫婦関係をどんな方向に向かわせるにせよ、家庭裁判所を通して問題解決を図るには調停を必ず行う必要が出てくると捉えて良いでしょう。
夫婦関係調整調停(離婚・円満)のメリット・デメリット
夫婦関係調整調停のメリット・デメリットは、離婚と円満のうち、どちらを選ぶかによって詳細が変わってくる実態があります。
しかし夫婦問題の解消に向けて調停を行なった方々の多くは、下記のような感想を抱く傾向があるようです。
配偶者と顔をあわせず、第三者が間に入って問題解決を図れる
調停における最大の利点は、調停委員という第三者を交えて冷静に話ができることです。
パートナーが別室で待機をする形となる調停には、力関係なく安心して主張ができるメリットもあります。
また社会経験豊富な調停委員を目の前にして話をすれば、配偶者と1対1で協議をする時のように感情的になってしまうことも少ないと捉えて良いでしょう。
一方的に判決がくだされることがない
双方から話を聞く調停委員は、判断をするのではなく解決策を提案する存在です。
そのため初回の調停で納得できない解決策が出てきた場合は、その想いを直接伝えることで、更に良い方向性がないか考えてくれる存在でもあるのです。
そのため、裁判と違って一方的な判決のくだされない調停の場合、お互いにとってより良い条件で離婚ができる可能性が高いと捉えても良さそうです。
逸脱した契約内容も回避できる
医師や団体職員、士業といった社会をよく知る職業の方々が就くことの多い調停を利用すれば、明らかに相場から逸脱した慰謝料や養育費が請求されてしまう問題にもブレーキをかけやすくなります。
離婚後の子育てに欠かせない養育費などの金銭は、高い金額を請求するだけでなく、相手が支払い続けられることも重要なポイントです。
そのため、調停委員を通して現実的に支払える金額を決めた方が、確実性の高い契約内容になるとも考えられます。
また調停委員とともに決めた内容の書かれた調停調書には、法的強制力もありますので、借金などを抱えたパートナーに養育費の支払いができなくなってしまうリスクを抱えている場合は、2人で協議離婚をするより調停離婚をした方が長期的な問題の円満解決ができると言えそうです。
円満調停のその後、一般的な夫婦はどうなるの?
相手方との関係の修復を目的とした円満調停の場合、必ずしも関係改善できるとは限りません。
2010年の司法統計によると、円満調停を行なった夫婦のうち22%が離婚をしている実態が見えてきます。
婚姻継続についても23%ほどいるようですが、そのうち9%が別居となってしまう状況から考えると夫婦関係調整調停だけでの円満解決は厳しい可能性が高いと捉えた方が良いでしょう。
どうしてもパートナーとの関係修復を行いたいときには、調停の申し立てをする前に夫婦間トラブルに強い弁護士などに相談をしておいた方が良さそうです。
夫婦関係調整調停(離婚・円満)の流れ
夫婦の問題を解決に導く調停は、離婚・円満どちらであっても下記の流れで進む形となります。調停の申立
夫婦で話し合いをしても問題解決ができない時、相手方の住所地もしくは夫婦が合意で決めた家庭裁判所に夫婦関係調整調停の申し立てを行います。
基本的には申立書と夫婦の戸籍謄本、収入印紙、連絡用に用いる郵便切手を添えて、申し立て手続きをする流れです。
離婚調停の中に年金分割割合に関する申し立ても含まれる時には、年金事務所などに情報通知書の請求を行なった上で、家庭裁判所での手続きに進むようにしてください。
調停で話し合い
申し立て後、調停委員を通して数回の話し合いが行われます。
一方ずつ話をする調停では、相手方が調停委員と会話をしている間に、もう一方は控室で待機をする形となります。
夫婦が面と向かって意見をぶつけ合うことのない調停は、配偶者のDVやモラハラなどにより話し合いができない関係の男女にとっても、堂々と自分の主張ができる場所と考えて良いでしょう。
しかし例えば、片方の「絶対に離婚はしない」や「絶対にその離婚条件は応じられない」という強い主張で夫婦の話し合いが厳しいと判断された場合は、不調という形で調停が終了することもあります。
調停調書の作成
調停の中で話し合われたことについて夫婦が合意した場合は、その内容の調停調書が作られます。
立派な公文書である調停調書には、法的効力があります。
そのため例えば、離婚に向けて慰謝料や財産分与といったお金の話をする時には、調停委員との話し合いで決めた内容が調停調書として残るこの方法を選択した方が、協議離婚をするよりお金が支払われないリスクも回避しやすくなると言えそうです。
審判
調停を始めた夫婦の間で下記のような状況が生まれている時には、不調ではなく、裁判所の職権を用いる審判により強制的に離婚を成立させることもあるようです。
・お互いが合意しない理由が僅かな金額であること
・条件面で折り合いが付いているのに、体裁面で合意しないと決めている場合
・未成年の子供の健全な生育環境のために、早急に事件を解決する必要がある時調停後の流れとしてレアケースとも言える審判は、2週間以内の異議申し立てにより不成立にすることもできます。
逆に決められた期間内に異議申し立てをしない場合は、判決確定より10日以内に離婚届などを役所に提出されると、離婚が成立してしまう流れとなります。
離婚届の提出
離婚調停が提出した場合も、申立人が調停成立から10日内に離婚の手続きをする流れとなります。
調停証書の謄本を添付する調停後の離婚の場合、相手に離婚届のサインなどをしてもらわなくても手続きを完了させられます。
しかし本籍地以外の市区町村役場で手続きを行う時には、夫婦の戸籍謄本が必要となりますので、注意をしてください。
夫婦関係調整調停に専門家の力は必要ですか?
夫婦関係調整調停を行う際の弁護士などへの依頼は、離婚と円満どちらを選択するかによって考え方が変わってきます。まず財産分与や養育費、親権などの話をする離婚調停の場合は、弁護士に代理人としての役割を依頼することも可能です。
これに対して夫婦が仲の良い元の関係の戻ることを目的とする円満調停で弁護士の存在を相手に知らせてしまうと、その行動が宣戦布告と捉えられてしまう可能性も出てくると言えるでしょう。
まずは夫婦関係の問題を相談してみる
配偶者に弁護士の存在を知られたくないという場合であっても、調停で話すべきことや条件面での相談を法律事務所で行うことは可能です。
夫婦間トラブルに詳しい弁護士に話をすれば、離婚・円満どちらであっても相談者により良い方向性の助言を受けられる。
また相手の暴言や暴力などにより話し合いすらできない夫婦においても、離婚問題に詳しい弁護士のアドバイスは非常に役立つものになると言えそうだ。
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