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2017.11.16
契約結婚の検討をする人に知ってほしい6つのこと
TBS系TVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)」が話題になった2016年10月頃から、主人公たちが行なっていた契約結婚に興味を示す方々が増え始めています。
また古くから契約結婚の存在を知る方々の中には、逃げ恥に対して「現実はそんなに上手くいかない!」と否定的な意見を述べる人も少なくない実態があるようです。
今回は、ドラマ放映からの1年で話題のキーワードになってしまった契約結婚について、皆さんと一緒に検討するなら知っておくべき基礎知識を詳しく確認していきます。
契約結婚とは?
契約結婚に、法律上の定義は一切ありません。
しかし一般的には、夫になる人と妻になる人との間で、何らかの婚前契約を取り交わした上で結婚することを契約結婚と呼ぶ傾向があるようです。
《契約結婚に法的な手続きや書類はありますか?》
法的な定義のない契約結婚には、婚姻届や離婚届のような役所に出す書類のフォーマットは存在しません。
そのため、本人たちが「これは契約結婚だ!」と認識していれば、きちんとした書面でなくともパソコンで作ったテキストやメールなどの文面によっても、個人的には契約結婚を行なったとみなされることもあるようです。
しかし法律の観点で考えれば、メールやLINEで送信した文章は基本的に口約束と位置付けられてしまいますので、注意が必要です。
また法的な手続きとは無関係な契約結婚は当然、婚姻届などに記載する必要のない存在となります。
《契約結婚は事実婚?法律婚?》
法的な定めのない契約結婚は、役所に婚姻届を出す法律婚だけでなく、近頃流行り始めている事実婚でも行えます。
例えば、戸籍上の縛りのない事実婚をする上でさまざまな不安がある場合は、婚姻生活を始める前に2人のルールを契約書に記載しておいても良いでしょう。
また法律婚をする場合においても、夫婦間トラブルを防ぐ目的で入籍前に契約結婚をしておくのも良さそうです。
《事実婚と内縁の違いとは?》
多義的に使われる事実婚という言葉には、内縁関係という意味も含まれます。
しかし講学上で事実婚というキーワードを使う場合は、当事者間の意図的かつ主体的な選択によって婚姻届を提出せずに共同生活を営んでいるといった意味を指すことが多いようです。
これに対して内縁は、既に別な異性と婚姻関係を結んでいる不倫の状態や、愛人などに使われることが多い言葉となっています。
こうした形で婚姻関係とは言い難い内縁の場合は、それ自体が不貞行為であることから、事実婚のような契約結婚はできないと捉えた方が良さそうです。
偽装結婚と契約結婚の違いとは?
TVドラマの逃げ恥を見た人の中には、「主人公たちが行なっていた契約結婚と偽装結婚は同じなのでは?」といった疑問を抱く方々も見受けられます。偽装結婚というのは、お互いに結婚する意思のない人達が、何らかの利害関係によって結婚の実態もない状態で「私たちは結婚をしています!」と装うことです。
例えば、いつまでも独身でいることへの恥ずかしさや見栄などによって、近所の人などに嘘をつく程度であれば、道徳的な部分は別として法律上の問題はありません。
しかし全く結婚する意志や実態のない2人が役所に婚姻届を出してしまうと、刑法157条の公正証書原本不実記載罪という犯罪になるため、注意が必要です。
また偽装結婚によって利益を得ていたり、生命保険や遺産相続といった部分で悪質な目的があった場合についても、刑法157条と合わせて重い罪になる可能性もでてきます。
《どんな人が偽装結婚をするの?》
日本人同士の偽装結婚で多いのは、借金に関する問題です。
誰かと入籍することによって名字が変わると、過去の借金履歴を隠して新たな借り入れをしやすくなると言われています。
また不正な方法で入国や滞在をしている外国人の中には、在留資格(ビザ)を取得するためだけの目的で、結婚する意志もないのに日本人と入籍する人達も少なくない実態があるようです。
こうした形であまり良い理由で行われることのない偽装結婚は、契約結婚と違って、どんな事情があっても避けるべき存在となります。
契約結婚では一体何を「契約」するの?
契約結婚の「契約」は、違法性のない内容であれば基本的にどんな約束事でも構いません。
しかし一般的には、下記のような内容で契約する夫婦が多い実態があるようです。
・婚姻期間(離婚日)を決める
・財布は夫婦で別にする
・浮気はお互いしても良い
・離婚や死別の際にどう財産を分けるか
・子供は作らない契約結婚のメリット
実際に契約結婚をしたカップルは、下記のようなメリットを実感する傾向があります。
《口約束を書面に残せる》
契約結婚をする最大の利点は、上記のような多くの約束事を書面に残せることです。
例えば、後々になって「忘れた!」と言われがちな内容を婚前契約書に残しておけば、夫婦間トラブルの中で非常に多い「言った・言わない」という認識のズレを回避することができるのです。
また特にどちらかがアルコールなどを飲んでいる時の口約束は、一時的に気持ちが大きくなっているだけという実態もありますので、その内容を必ず守って欲しいと感じた場合は入籍前に何らかの書面に残す心掛けも必要だと言えそうです。
《相手の本気度をチェックする》
婚前契約書を取り交わすと、これから行う入籍に向けて後戻りのできない状態となります。
例えば、まだ数ヶ月先の誕生日に入籍をする場合に、相手がそれまでに気が変わりそうな兆しがある場合は、婚前契約書の中に「◯月◯日に入籍すること」を記載しておいても良いでしょう。
また結婚に向けての実感がわかない場合についても、さまざまな条件を記載した婚前契約書をつくることで、入籍に対する相手の本気度を確認できると言えそうです。
《スムーズな離婚》
契約結婚を行うカップルの中には、泥沼離婚を防ぐために契約書を取り交わす方々も多く見受けられます。
入籍前のラブラブな時期に「万が一離婚をすることになったら?」という話し合いをしておくと、不仲になってから離婚条件を決めるよりも相手のことを思った理想的な判断がしやすくなります。
また最初に離婚条件を決めてしまうと、自分の非によりそれを呑まざるを得なくなる不倫や浮気をしにくくなるとも言われていますので、入籍前に2人の間に生じる万が一について考えておく習慣は将来的な夫婦関係にも好循環をもたらすと言えそうです。
契約結婚のデメリット
利点ばかりが注目される契約結婚にも、当然いくつかのデメリットは存在します。
《ラブラブモードに水をさす》
結婚後の暮らしやする予定もない離婚条件を契約結婚で決めたいと相手に主張すると、せっかくのラブラブモードに水をさす形となります。
またまだ一緒に同棲もしていない段階で細かなルールを作ろうとすると、相手に対して将来的な不安や面倒臭いという印象を与えることもあるようです。
これから結婚するお互いがルールによって快適に暮らそうとする意志があれば、契約結婚は大変有効となりますが、曖昧さを好むパートナーの場合は提案をするだけでも注意が必要だと言えるでしょう。
《家族や友人から反対される》
契約結婚という概念を知らない古い年代の両親や、逃げるは恥だが役に立つのドラマを見て契約結婚にネガティブな印象を持つ友人の中には、こういう方法で夫婦のルールを決めることに対して批判的な姿勢を持つ方々も少なくない実態があります。
また保守的な田舎で暮らす場合は、事実婚などにもネガティブなイメージを抱く人が多いことを頭に入れておく必要があると言えるでしょう。
基本的に戸籍や法律とあまり関係のない契約結婚をする際には、そこで決めたルールが他人に影響しなければ、敢えてその事実を周囲に知らせなくても良いかもしれません。
《法的効力がない場合もある》
夫婦におけるルールの証明とも言える婚前契約書に書かれている内容が、あまりにも常識から逸脱している場合は、互いにサインをしていても裁判所の判断で無効になる可能性もあります。
また反社会的な契約についても裁判所では当然認めませんので、「契約書に書けること」と「法的効力があること」が等しいわけではないことを頭に入れておくようにしてください。
この部分の判断が難しい時には、夫婦2人だけで全てを決めるのではなく、夫婦問題や離婚問題に詳しい弁護士に相談するのが理想となります。
契約結婚の具体例
最後に社会的に有名な契約結婚の具体例を、2つご紹介しておきます。《サルトルとボーヴォワール》
フランスの哲学者・サルトルと、フェミニズムの観点から女性の自由や開放を求めていたボーヴォワールは、契約結婚をしていました。
互いの自由な恋愛を保障するといった非常に前衛的な契約をしていたサルトルとボーヴォワールの関係は、約50年間もの長きに渡って続いたと言われています。
《逃げるは恥だが役に立つ(テレビドラマ)》
2016年に放映された逃げ恥の契約結婚は、夫=雇用主、妻=従業員というかなり変わった契約内容でした。
しかしその中には2人の関係を縮める「ハグの日」や、社員旅行と捉える「新婚旅行」といった斬新かつ温かなルールも多く存在していたようです。
契約結婚に使う婚前契約書ってどんなもの?
契約結婚で作成する婚前契約書には、基本的に専用フォーマットや書式は一切ありません。
しかしその書面が将来的に法的効力を発揮することもあると考えると、社会一般の契約書と同じように契約日や互いの名前、印鑑などをきちんと押しておくのが理想と言えるでしょう。
また婚前契約書はその名のとおり入籍前に作成すべき書類となりますので、タイミングについても注意が必要です。
この書類の書き方や契約結婚に関して不安や疑問がある場合は、2人だけで全てを解決しようと考えずに、弁護士などの専門家に相談をしながら準備を進めていくのが理想だと言えるでしょう。
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