COLUMN
夫婦間トラブル
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離婚に伴う手続き
2017.12.25
離婚約の意味と約束書面を作るメリット・デメリット
お笑い芸人・インスタントジョンソンのじゃいさんが書いた「離婚約」という本により、このキーワードに近頃多くの人が注目するようになりました。
また2017年10月24日のテレビ番組・ミヤネ屋では、実際にじゃいさんをスタジオに呼んで、離婚約をするメリットやデメリット、考え方などについて具体的に取り上げているようです。
今回は、離婚をする夫婦の新たな在り方とも言える離婚約について、その特徴や約束書面をつくる上での注意点などを詳しくまとめていきます。
離婚約とは?
離婚に向けて夫婦がさまざまな約束をすることを、離婚約と呼びます。
法律的な手続きではない離婚約には、市区町村役場に届け出を行う離婚のように、厳密な定義はありません。
しかしインスタントジョンソンのじゃいさんの著書によってこの概念が注目されるようになった近頃では、離婚後のトラブル予防や互いのより良い人生を目指す夫婦の間で、離婚約をする方々が増え始めているようです。
《離婚約では一体何をするのでしょうか?》
離婚約を実際に行った具体例を見てみると、多くの夫婦が離婚届を出す時期やさまざまな離婚条件を決めていることに気付かされます。
例えば、今現在まだ幼い子供がいてすぐに離婚ができない場合は、幼稚園卒園後や小学校卒業後といった時期に離婚をする約束をするケースも少なくないようです。
また将来的に行う離婚に向けて、財産分与や一戸建て住宅の扱い、養育費、親権といった離婚協議書や離婚公正証書に記載する項目を、離婚約のタイミングで決めてしまう夫婦も多いといわれています。
《普通の離婚と離婚約との違いは何ですか?》
離婚約をする夫婦の多くは、数年後に別れる約束という意味でこのキーワードを使う実態があります。
これに対して普通の離婚の場合は、「離婚協議が終わればすぐに別れたい」とか「1日でも早く離婚をしたい」という強い想いにより、互いの条件面で折り合いがつけば遠くない将来に離婚届を出すのが一般的となっているのです。
こうした形で一般的な離婚と離婚約を比べると、後者はしばらく家族としての日々を過ごした後、将来的に離婚届を出す約束であると考えられそうです。
離婚約をするメリット
今話題の離婚約を行うと、普通の流れや方法で離婚をするよりも、夫婦の間に下記のようなメリットが生まれやすくなると言われています。《経済的自立に向けた準備ができる》
離婚約によって「3年後に離婚届を出す」といった具体的なスケジュールが決まると、その日に向けて就職活動などの準備をしやすくなります。
特に長きに渡って子育てをしていた専業主婦の皆さんは、新しい仕事を始める上でもさまざまな準備が必要となりますので、新生活に向けて年単位で計画的な行動を起こせる離婚約をした方が、経済的自立もしやすくなると言えそうです。
また離婚約によって子供が大きくなったタイミングで旦那さんと別れれば、乳幼児を抱えた状態で離婚をするよりも、選べる仕事の幅もひろがるという声もあります。
《生活力を身につけられる》
今まで掃除、洗濯、炊事といった全ての家事を奥さんに任せていた男性の場合は、離婚までの期間を使って生活力を身に着けることも可能です。
また夫婦仲が非常に悪いわけでもなく、互いの将来のことを考えた離婚約をする場合は、生活力を高めるために奥さんから洗濯の仕方や簡単な料理を習ってみても良さそうです。
《家族の思い出づくりができる》
離婚約によってゴールの決まった家族の中には、子供の思い出をつくるために今まで以上に多くのレジャーやお出掛けに行くケースも非常に多い実態があります。
ある程度気持ちが吹っ切れた離婚約を決めた夫婦の多くは、別れる決断のできないまま悶々とした関係を続ける人達と比べて、レジャーなどに行きやすい雰囲気になっているようです。
また離婚をした夫婦はその後の人生を別々に歩むケースがほとんどとなりますので、幼き子供に家族で過ごした思い出を忘れさせないためにも、外出先で多くの写真を撮っておくのもおすすめと言えそうです。
《互いに反省できる》
別れる決断から離婚届を出すまで数年かかることもある離婚約をすると、その期間の中で夫婦のそれぞれが自分の気持ちと向き合いやすくなると言われています。
また離婚約をする夫婦は離婚届を提出するゴールまでの間、経済面や子育ての部分で協力し合う関係になるケースがほとんどとなるため、こうした今までと違う姿勢を持つことにより、素直な気持ちで反省ができるようになると言われているのです。
これに対して一刻も早く離婚条件と決めて別れたいと考える普通の離婚の場合は、なかなか素直な気持ちになることができず、いがみ合ったまま相手と離れるケースもほとんどのようです。
《離婚後のトラブルが生じにくくなる》
離婚届提出までの数年に渡って準備や話し合いを進める離婚約の場合、短期決戦で別れた夫婦と比べて離婚後の問題が生じにくいと言われています。
例えば、まだ幼稚園生の幼い子供がいる場合、卒園まで離婚届の提出を待ったり、新生活に向けて母親が仕事を探す努力をすることにより、別れた後も生活の困窮などの問題が起こりにくくなるようです。
また財産分与や慰謝料などについてもじっくり決めることで、今後の生活に必要となるお金についても向き合えるメリットが得られるため、子供と自分の将来を豊かなものにするといった意味でも離婚約のおすすめ度は高いと考えられています。
《離婚をせずにやり直せる場合もある》
離婚約から離婚届提出までの間に、自分の気持ちとしっかり向き合って今までの反省点を洗い出すことにより、夫婦関係が修復に向かうケースも少なくないようです。
こうした形で夫婦関係がよくなれば、今まで以上に円満な家庭を築きやすくなります。
また1度の離婚約を通して子育てや経済的な部分の問題点を洗い出しておくと、万が一離婚をする際に何をすれば良いかイメージできていることによって、パートナーと別れることへの恐怖もなくなると言われています。
離婚約をするデメリットと注意点
仲の悪い夫婦にとって利点ばかりとも言える離婚約にも、いくつかの問題やデメリットが存在します。
《更に夫婦関係が悪化することもある》
パートナーに離婚をする意思が全くない場合に離婚約の提案を突然行うと、相手に不信感を抱かれる可能性も出てきます。
また人によっては離婚約という聞きなれない言葉に対して拒絶反応を起こす人もいるため、話を切り出す時には注意が必要です。
切り出し方やタイミングを誤ると離婚という言葉によって相手の束縛などが強くなり、夫婦関係が更に悪化するケースもあると言われています。
《財産隠しのリスクもある》
離婚約をする夫婦の多くは、子育てや金銭的な部分で不安を抱えている傾向が高いです。
これに対して財産をなるべく多く独り占めしたいと考える配偶者の中には、離婚約から離婚届提出までの間に貯金などの財産隠しをする方々も少なからず存在します。
離婚届を出すまでに時間的余裕があるということは、相手方にもさまざまな準備のできる状況を与えることとなりますので、もしパートナーに財産の独占などをしたいと考えている傾向がある場合は、注意をした方が良さそうです。
《子供が手なづけられることもある》
離婚によって親権が相手方に渡ることを恐れる人の場合、離婚届を出すまでの数年間だけ子供に優しくするケースも少なからず見受けられます。
また今まで全く子育てに参加していなかったワーカホリックの夫などの場合、面会交流の交渉で不利にならないために、子供と仲良くしているアピールをする方々もいるようです。
離婚約から離婚届提出までに間に相手が反省し、今まで消極的だった子育て参加を頑張るようになれば、夫婦関係だけでなく家族関係にも好循環が生まれると言えるでしょう。
これに対して親権や面会交流といった部分で有利になるために頑張る人は、離婚をした後に再び子供を邪険にする可能性もありますので、注意をしてください。
《不倫や浮気が始まる》
離婚約によってパートナーを失う寂しさに苛まれると同時に、浮気や不倫に走る方々も非常に多く見受けられます。
また離婚約後に浮気や不倫が発覚した場合、「夫婦関係は既に破綻しているのだから、法定離婚原因には該当しない」といった人達もいるため、注意が必要です。
互いの将来という前向きな理由で行う離婚約後は、正式な離婚届を出すまで配偶者と一緒に過ごすのが理想となります。
もし相手に不倫などに走りそうな雰囲気がある場合は、離婚約の書面の中で「不倫や浮気はNG」といったことを厳しく記載しておいても良いでしょう。
《周りからの理解が得られにくい》
最近話題になり始めたばかりの離婚約には、社会的認知が低いという難点もあります。
特に離婚にも否定的な団塊の世代などの場合、離婚約という更に難しい考え方のキーワードに対して、拒絶的な反応を見せることもあるようです。
また地方都市などの田舎でも、離婚約などの少し変わった夫婦の在り方が認められにくい実態がありますので、周囲に話をする時には注意をしてください。
離婚約の約束書面は必要?その内容や書き方とは?
相手方との言った・言わないのトラブルを防ぐためには、離婚協議書に離婚約の内容を記載しておくのが理想となります。
特に約束から数年後に届けを提出する離婚約の場合、最初に決めた金銭的条件なども忘れ去られる可能性もありますので、具体的な金額や支払い方法などもしっかり記載するようにしてください。
また夫婦が自由なフォーマットで作成した離婚協議書には法的効力がありませんので、離婚後の強制執行などをできる形にするためには、公証人役場で公正証書をつくるのが理想だと言われています。
これから離婚約をする上で協議の内容や約束書面の書き方などでわからない点がある場合は、離婚問題に詳しい弁護士事務所に相談をしてみてください。
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